温度とは何か
熱平衡とケルビンを手がかりに、温度が何を表す量なのかを整理します。
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この問いの出発点
天気予報の数字や体温計の表示で、温度は毎日目にする量です。日常では、熱さや冷たさの程度として受け取られています。
ただし、前の問いで熱を「温度差によって移るエネルギー」として整理したとき、比べる基準にしていた温度のほうは説明していませんでした。温度が熱の量そのものではないのなら、何を表す量なのかを確認します。
調べて分かったこと
温度は熱や内部エネルギーの総量ではない
温度が高いことと、物体が持つエネルギーの総量が大きいことは同じではありません。
小さな火花は非常に高い温度になることがありますが、含まれる物質が少ないため、浴槽のお湯よりも内部エネルギーの総量が小さい場合があります。移動する熱の量は、温度の差だけでなく、物質の量と種類にも左右されます[1]。温度だけでは、物体全体がどれだけのエネルギーを持つかは決まりません。
熱平衡が温度を比べる基準になる
異なる温度の物体を接触させると、通常は高温側から低温側へエネルギーが移ります。
しばらくして、温度差による正味のエネルギー移動がなくなった状態を熱平衡と呼びます。熱平衡にある二つの系は、同じ温度にあると考えられます[2]。
温度は、この熱平衡にあるかどうかを通して比べられる量です。温度計を物体と接触させて温度を読み取れるのも、この性質によります。
粒子の運動との対応には範囲がある
気体分子はさまざまな向きと速さで運動しています。理想気体のモデルでは、絶対温度は分子の平均的な並進運動エネルギーと対応します[3]。
ただし、この対応が結びつけているのは、理想気体の分子の並進運動です。現実の物質が持つ内部エネルギーには、並進運動だけでなく、回転、振動、粒子間の相互作用なども関わります[3]。そのため、あらゆる物質の温度を単純に「粒子の速さ」だけで定義することはできません。
ケルビンは何を基準にしているのか
熱力学温度のSI単位はケルビンで、記号はKです。
現在のSIでは、エネルギーと温度を結びつけるボルツマン定数の数値を正確に固定することで、ケルビンが定義されています[4]。
0 Kは絶対零度です。セルシウス温度との目盛りの間隔は同じで、0 ℃は273.15 Kに対応します[5]。
温度は別の物理量を通して測る
温度に応じて再現性よく変化する物理量があれば、それを温度計の原理として使えます[5]。接触式の温度計は、液体の体積や電気抵抗の変化を利用します。
一方、放射温度計は、物体から届く電磁波を測り、表面温度を推定します。温度は直接目で見る量ではなく、温度に応じて変化する別の物理量を通して測定されています。
誤解しやすい点
温度が高ければ、どの物体でも必ず内部エネルギーの総量が大きいとは限りません。温度は物体の熱的な状態を表す量で、物体全体がどれだけのエネルギーを抱えているかとは別の量です。
また、温度をあらゆる物質について単純に粒子の速さだけで表すこともできません。粒子の運動と温度が対応するのはモデルの前提が満たされる範囲で、そこで対応しているのも個々の粒子の速さではなく平均的な量です。
身近に確かめられること
温度計を別の場所へ移した直後は、表示はすぐに落ち着かず、しばらくかけて変化していきます。
温度計自身にも温度があり、測る対象との間でエネルギーが移るためです。値が読み取れる状態になるのは、温度計が対象と熱平衡に近づいたあとになります[2]。触れた瞬間の表示が対象の温度とは限らない、ということでもあります。
次に残る問い
温度が何を表す量なのかは整理できましたが、その目盛りの端や、物質のない場所については触れていません。
- 絶対零度には到達できるのか
- 温度計はどのように校正されるのか
- 宇宙空間の温度とは何を意味するのか
- 物質のない真空では熱はどう伝わるのか
ここに挙げた問いは、いずれも科学に答えがないという意味ではなく、このページでまだ扱っていない問いです。
次は、真空の中で熱はどう伝わるのかを追います。